神のいない世界の歩き方「科学的思考」入門を読み終わったので、ぼくが思ったことをつらつらと書いた。

著 者リチャード・ドーキンス
訳 者大田 直子
発行者早川 浩
発行所早川書房
発 行2022.6.25

人類はいかにして誕生したのか?星々はどうして夜空を巡るのか?古くは神や天使が司っていたこれらの「未知」を解き明かしたのは、思い込みでは満足しない、先人たちの澄み切った科学的思考だ。その本質のなんたるかを、既存の宗教や迷信をつぶさに繙きながら、現代最高のサイエンス作家が明快に示す。さあ、歩き出そう。バクテリアからヒト、そして遥かな宇宙へと広がる科学の地平に。『さらば、神よ』改題。解説/佐倉統

裏表紙より

本書は2部から構成されている。

第1部で聖書や神話の内容から神を否定し、別れを告げる。

第2部で生物の進化の過程を検証し、そこに神はいないことを告げる。

著者は科学的思考を推奨し、宗教を否定する。「この世に神はいない」と。

ぼくも無神論者なので、大枠には同意する。ただ著者は少し極端な気もする。

本書を読んだ人の意見を聞いてみたい。

第1部 さらば、神よ

聖書に書かれている物語は本当にあったことなのか?

神話の神様って本当に尊敬できるようなもの?

神様って人類に酷い仕打ちばっかしてない?

聖書を読んで得られるものは?

神様がいないと良心的ではいられないのか?

聖書の内容や神様の人格に触れ、神を否定し、神から卒業する下地を作る第1部。

まあ、神様にロクなやつがいないってのは、ギリシャ神話とかでわかってる。物語だろうけど、なんであんなにガキっぽい神様ばっかなんだろうか。

聖書に出てくる神も、そんな尊敬に値するものか?というような感じで、宗教やその神は信じるに値しないものだと説明していく。

第2部 進化とその先

第2部では生物の進化の過程を説明し、そこに神は介在していないと説明する。

全ては自然淘汰の結果であり、生物の進化の成せる業だと。

タコの擬態の能力は?カメレオンの擬態の能力は?創造主のデザインではないのか?

チーターの速度に特化したフォルムは?葉っぱに擬態する蟷螂の能力は?

それらも全て、生物の進化の結果。「神を信じること」も、生き残るために必要だったから今も存在しているのだ。

人間の良心も進化の結果。

「私たちの一生は、異なるスキルをもつ他人の必要性に支配されている」298頁にそんな言葉が出てくる。だから人には親切にしないとダメなのだ。

大昔は近しいものにだけ親切にしていればよかったのだろうが、世界中と繋がっている今日では、他人全てに親切にした方が生き残れるのかもしれない。

現在生きている生物は生き残れるだけの能力を、少しずつ次世代につなぎながら進化してきた。ということだ。

神話にでてくる神さま程度では、生き物の美しさは創造できそうもないよなあ。

感想まとめ

科学の成果が必ずしも人に心地よくない」とは解説で書かれていた言葉だ。これはその通りだと思う。だからヒトには宗教が必要だと思うし、科学だけが幸せになる手段ではないのだろう。

著者は9.11で宗教を完全に否定する方向へシフトしたらしいが、宗教全てが悪いわけではない、とぼくは思う。

この世には科学では説明できない部分も確かに、ある。それは著者も認めている。一例では「万物の起源」であるとか。

科学の空白を神でふさぐ、と言われているように、科学でわからない部分を神の業として理解して補っている。

しかし、それもいずれは科学で証明されてしまうのだろう。そうなった時に本当に神はいなくなるのかもしれない。