著 者 | ウィリアム・ゴールディング |
訳 者 | 平井正穂 |
発行者 | 佐藤隆信 |
発行所 | 株式会社新潮社 |
発行日 | 昭和50年3月30日 |
あらすじ
未来における大戦のさなか、イギリスから疎開する少年たちの乗っていた飛行機が攻撃をうけ、南太平洋の孤島に不時着した。大人のいない世界で彼らは隊長を選び、平和な秩序だった生活を送るが、しだいに、心に巣食う獣性にめざめ、激しい内部対立から殺伐で陰惨な闘争へと駆りたてられていく・・・・・・。少年漂流記物語の形式をとりながら、人間のありかたを鋭く追究した問題作。
裏表紙より
登場人物
ラーフ | 12歳の少年。活発で理性的。本編の主人公。 |
ピギー | 眼鏡をかけた太っちょの少年。理論的で臆病。喘息もち。 |
ジャック | 合唱隊のヘッド・ボーイ。背が高く、横暴な性格。 |
サム、エリック | 双子 |
モリス | 合唱隊 |
ロジャー | 合唱隊 |
ビル | 合唱隊 |
ロバート | 合唱隊 |
ハロルド | 合唱隊 |
ヘンリ | 合唱隊 |
サイモン | 合唱隊、体力がない。 |
パーシヴァル | 孤島の中で最年少。6歳。 |
ジョニー | 孤島の中で最年少。6歳。 |
最初はラーフを隊長に秩序ある生活を営む少年たち。
果物が豊富にあり、食べる物には困らない。
ピギーの眼鏡を使って火を熾すことも出来る。
島には豚が生息している。狩りをすれば肉を食べることができる。
狩りに重点を置くものと、火を絶やさないことに重点を置くもの。
次第に溝が出来ていき、最後には・・・・・・。
感 想
サイモンの「獣はいる」という言葉、それは自分たちの中に、ということなのだろう。
豚を狩ることで獣性が目覚める少年たち。この辺の描写は迫力があって面白かった。
サイモンと「蠅の王」との対話。おそらくこのシーンが本書の一番重要な部分で、読みごたえがあるところではないだろうか。
人間は楽しく生きたいもの。それはあくまで自分が。自分さえ楽しければいいもの。法がなければ、大人がいる社会でもこの島のようになるのだろう。法があっても同じかもしれないが。人類の歴史を考えると。
人間は醜い。それをまざまざと見せつけられた、いい読書体験でした。