本の情報
著 者 | マリア・コニヴァ |
訳 者 | 日暮 雅通 |
発行者 | 早川 浩 |
発行所 | 早川書房 |
発行日 | 2016年1月10日 |
頁 数 | 422 |
概 要
ホームズはなぜ初対面のワトスンがアフガニスタン帰りだと推理できたのか?バスカヴィル家でなくなった片方のブーツから、なぜ真相を見出せたのか?コナン・ドイルの小説の中でホームズがいかに名推理を導いたのか、その思考術を最新の心理学と脳神経科学から気鋭のジャーナリストが「マインドフルネス」の視点で解き明かす。注意力、観察力、記憶力、洞察力、分析力、想像力をアップさせ、あなたもホームズになろう!
文庫裏表紙より
第1章
「逸れてさまよう注意力を何度も繰り返し自発的に連れ戻す能力」がマインドフルネスの本質。
本書はマインドフルな教育にアプローチする。人生、思考に対して。マインドフルネスは、判断力、性格、意志を向上させることよりも、さらに先がある。
年配者に若返ったように感じさせる。バイタルサインや認知機能も向上する。
脳はマルチタスクに向いていない。全ての作業の能率が落ちる。記憶力も衰える。
マインドセット:行動の開始から目的の達成までのプロセスに特徴的な認知・思考状態。ホームズが提供しているのは、様々なことに応用できるこの力。
科学的思考法
科学的思考法は、観察から始まる。幅広い基礎知識、事実に対する理解、問題の概略を把握することから始まる。問題はできるだけ具体的に明確にする。
仮説はやみくもに立ててはいけない。基礎知識と観察から生まれる。次に検証。仮説が威蕃としていることは何か?考えうる可能性を一つ一つ消していく。最後に残ったものが、どんなにあり得なさそうでも真実。
科学的思考法とは、問題点を理解し組み立て、観察し、仮説をたて、検証して推理し、繰り返す。ホームズの思考術とは、この手法を自分の頭に浮かんだ全てのもの当てはめられるようにすること。
脳の落とし穴
「ワトスン・システム」本能、反射的行動。オートパイロット。無意識。
「ホームズ・システム」慎重、論理的。内省的行動。
世界は全てピンクの象。あらゆる情報は、注意深く、健全な懐疑的精神をもって調べなければならない。
脳は疑うより、信じるほうを選ぶ。その方が楽だから。
ホームズシステムになるには訓練が必要。
専門家は、専門分野の世界を、一般的な目とは違う風に見ている。
二つのM
マインドフルネスとモチベーション。
ワトスンシステムから、ホームズシステムに移行することで、マインドフルネスにモチベーションが加わる。
第2章
脳という屋根裏部屋は整頓が可能、いつからでも。そしてホームズの屋根裏部屋に近づけることができる。
その方法は?
屋根裏部屋の家具
太陽の下に新しきものなし。過去に必ず同じようなことはある。
必要な時に思い出せないのなら、どんなに知識が多くあっても役に立たない。
思い出せるかどうかは、屋根裏部屋がうまく整頓されているかどうかにかかっている。
興味や動機があるときに、よりよく記憶することができる。
屋根裏部屋に長く置いておきたいものは、関連付けや行動と共に格納することが大切。ようは記憶の宮殿や、匂いや色などで覚えるってこと。
知っていることとは、思い出せること。
記憶を活性化させるには?
バイアス
脳は、結論に飛びつくのが大好き。
全てを覚えていたら、何も覚えていないのと同じくらい都合の悪いことばかりになる。
脳が結論に飛びつくからと言って、そのように行動することが決まっているわけではない。制御ができる。
感情は理性と相反する。
例外を造ってはいけない。
自分の目的と関係のある物事により気を配り、そうでないものに重きをおかないように、動機付けをする。屋根裏部屋の空間は貴重であり、その中に入れるものは慎重に選ぶべき。
プライム
先行刺激。脳が瞬時に行う判断。無視するべき。判断が鈍る。
環境が脳に及ぼす外部の影響。天気(プライム)によって判断が変わる。
全てのものを、自分の問題に関係のあるものとして捉える。それ以外の要素は無視する。
脳の受動性
脳の屋根裏部屋が瞬時に行う判断からどのように逃げるか。意識と存在がカギ。
自分自身と自分の考えに常に懐疑的であれ。
直観したときほど自問する。
たいていにおいて、自分の判断を信用しないほうがいい、と認識するこが、判断を実際に信頼できるまで向上させる秘訣。
まずは意識すること。そして行動へとつなげる。それには観察が必要。観察し、理解する。重要なものへ注意を向け、そうでないものには向けない。
第3章
観察する力を養うには?
注意を向けるということは難しい。
注意を払わずに認識することは不可能。
注意力は有限な資源である。
自制とは筋肉と同じ、使わなければ衰えるが、鍛えることが可能。
人の心
人の心は、うまれつきさまようものである。しかし、現代社会の速さで活動を切り替えるようにはできていない。マルチタスクは無理。注意を全てに向けているようで、何にも注意を向けていない。
選択力、客観性、包括性、積極的関与
「目標」に向かう事象のみを「選択」し、そこに注意を向ける。
「客観的」に事象を見て、事実のみを捉える。客観的に見るには、考えを話すことや、紙に書き出して、読んでみること等が有効。これは最近上司も言っていた。もしかしてこの本読んだのかな。
何かの不在は何もないのと同じではない。
「包括的」に事象を見るには、五感を駆使することが大切。特に嗅覚は記憶と強く結びつく。あらかじめ立てた目標に関係のあるものは何一つ見逃さないようにする。それが注意力。
人の心は自分がしていることに能動的に関与する必要がある。モチベーションが低下すると仕事ぶりは低下する。
脳が多忙であるほど第一印象を修正しない。
観察力のある心、注意力のある心とは、現在に集中する心。さまよわない心。積極的に関わる心。
第4章
想像力を養うには。
想像力は、観察と推論の間にある大事な要素。
想像力とは、新しい可能性であり、それまでに存在していない出来事であり、事実に反することであり、新しいやり方で再構築した要素。
知識には限界があるが、想像力は世界を抱え込める。
想像力が行うことは、初めは異なっているように見える要素の間に完全には明白ではない関連をつくりあげること。
仮説が正しいとされる可能性を想像する。
「想像力」とは、屋根裏部屋に今まで整理整頓して置いてある知識と、新しく部屋に仕入れた知識を、新しい部屋の中で混ぜ合わせ、新たなものを生み出すこと。そのためには、目的に直結しないものも屋根裏部屋に入れる必要がある。なにがひらめきの材料になるのかわからないのだから。そして、いろいろぶちこんだ部屋からしばらく距離を置けば、不意にひらめきが訪れる。
想像的思考能力を得るには
目の前で電球が点灯すると、粘り強く考えられるようになる。ホントかな・・・・・・。ひらめきのアイコンが電球だからかな?創造的になるらしい。
前向きなものすべてに創造性を高める効果がある。
あらゆるものと距離をとること。脳を強制的に一歩下がらせる。
全体像を知るためには距離をとるしかない。
うみがめのスープ問題は想像力を高めるようだ。
距離をとる方法
達成しようとする目的とは無関係であるほうがよい。
それほど努力しなくてもいいことのほうがよい。
あるレベルまではひきこむことであること。
一番いい例は散歩。特に自然の中での散歩で問題解決が図れる。
第5章
推理をするとはどういうことなのか。
「不可能なものを全て消去すれば、あとに残ったものがいかに不合理に見えてもそれ以外に真実はない。」
論理学における誤謬(ごびゅう、英: logical fallacy)は、論証の過程に論理的または形式的な明らかな瑕疵があり、その論証が全体として妥当でないこと。
ホットハンドの誤謬とは、一見ランダムな事象で成功を経験した人は、追加の試行においてさらに成功する可能性が高いと信じてしまうという誤謬である。ホットハンド現象や、単にホットハンドとも言う。
第6章
勉強には終わりはない。
ホームズの言う「勉強」とは、たゆまずに自分を刺激し続けること。「ホームズシステム」から学び、「ワトスンシステム」から支配されないこと。それは、自分が熟達しようが、全てに「マインドフル」であり続けること。熱意を失わずにいるためへの方法である。
マインドフルな思考習慣。それが本書で身に着けるべきだと言っていること。それには訓練が必要。
プラトーとは学習高原といい、学習していても伸びなくなる地点のこと。ここであきらめてしまうと、プロになれない。プラトーをいかに耐えるかが大事。
習慣化できるほど、ホームズの思考術を実践すると、そのうち「マインドレスネス」に戻ってしまう。習慣になるとは「注意しなくてもできる」ようになることだから。
ホームズにとっては、ワトスンが「刺激剤」であり、マインドフルでいられることに欠かせない存在だった。
ではワトスンのような友人がそばにいない私たちにできることは?自分でリマインダーを設定する。思い出すことだ。それは自分なりに見つけるしかない。学ぶことを続けるということ。
成功は自信過剰を生む。驕れるものは久しからず。
第7章
思考法の手順
自分を知り、周囲の状況を知る
目的を定め、「何を観察すればいいのか」の基準を作る
観察する
注意深く、思慮深く観察する。
想像する
距離を置き、再構成と再統一を行う。
推理する
観察したもののみから推理する。憶測はしない。予想もしない。事実からのみ考える。
学習する
成功からも、失敗からも学ぶ。
第8章
実践するには。
日常でのマインドセット。屋根裏部屋のメンテナンス。注意力を使う時期を考える。体調を考える。
環境に合わせて手法を変える。適応させる。
「シャーロック・ホームズの思考術」は、マリア・コニヴァによる書籍であり、シャーロック・ホームズの物語から得られた知識を通じて、読者に論理的思考、推論、観察力を向上させる方法を教えています。
本書では、シャーロック・ホームズがどのようにして謎を解決し、犯罪者を捕まえるかについて説明されています。ホームズの手法は、物事を綿密に観察し、推論を用いて証拠を分析することに基づいています。本書では、ホームズの手法を実際の問題に適用する方法について、実践的なアドバイスが提供されています。
本書は、論理的思考、問題解決能力、推論力を向上させるために役立つ数多くの演習問題を含んでおり、読者がホームズの手法を習得し、現実の問題に応用するのに役立ちます。また、本書では、ホームズの手法がどのようにしてビジネスや日常生活にも適用できるかについても議論されています。
「シャーロック・ホームズの思考術」では、論理的思考、推論力、観察力を向上するために以下のような方法を提案しています。
- 記憶力の向上
- 論理的思考の訓練
- 観察力の向上
- 創造力の向上
これらの方法を実践することで、論理的思考、推論力、観察力、創造力を向上させ、より問題解決能力を高めることができます。
「シャーロック・ホームズの思考術」では想像力については言及されていませんが、「想像力」を向上させるためには以下のような方法があります。
- 読書
- 創作活動
- マインドマップ
- 論理的思考の練習
- アウトプット
これらの方法を実践することで想像力を向上させることができます。