単行本情報
著 者 | 櫛木 理宇 |
発行者 | 青柳 昌行 |
発 行 | KADOKAWA |
発行日 | 2020年7月9日 |
頁 数 | 381 |
あらすじ
ある男がビジネスホテルの一室で刺殺された。遺体はめった刺しにされていて、怨恨の線が濃厚。
被害者の家を捜索すると、1人の女性が地下室で監禁されていた。
殺害された男は、女性を監禁していた加害者なのか?それとも被害者なのか。
元家裁調査官の白石は、親友の刑事からある相談を持ち掛けられる。その内容とは。そして事件の顛末は?
感 想
結構凄惨な描写が多いため、苦手な人は要注意です。
個人的に好きな作品でしたが、そんなに驚きの展開とかはなかったかな。結局、虐待は虐待を生み、憎しみは連鎖するのでしょうか。
家裁調査官という職業の本は初めてだったので、いろいろ面白い単語を知れてよかったかも。こういう新しい単語に出会えるというのも、読書の楽しみの一つですよね。
以下ネタバレ含む
三橋家の家政婦さんが、薩摩家の三番目の妻、「志津」だった。彼女が全ての黒幕で、伊知郎から、治郎まで全員を洗脳して操っていた。
三章から登場してきた「海斗」と「未尋」が事件とどう関わってくるのかさっぱりわからなかったけど、時間軸が違ったってことね。
家族での洗脳、虐待とかを聞くと「北九州監禁殺人事件」を思い出してしまう。あれも気が滅入る事件だったなあ。
勉強になった言葉たち
エディプスコンプレックス:子供が無意識のうちに,異性の親に愛着をもち,同性の親に敵意や罰せられることへの不安を感じる傾向。フロイトにより提唱され,多くは男子と母親の場合をさす
ライウスコンプレックス:父親が息子に対して感じる不安と殺人衝動
スノッブ:教養のある人間のように振る舞おうとする俗物。えせ紳士。
バタードウーマン:多くは家庭内暴力、ドメスティックバイオレンス (DV) と関連しており、女性の場合は被虐待女性症候群(バタードウーマン症候群)、被虐待妻症候群(バタードワイフ-)、児童の場合は被虐待児症候群(バタードチャイルド-)
年寄りっこは三文安い:祖父母に甘やかされて育った子は、ほかの子よりも人間的な値打ちが低い=三文安いという意味で、根気がなく、ぜいたくをしがちで困る、すぐ他人を頼る子になる。甘やかしすぎはダメってことですかね。
モキュメンタリー:架空の事実を取り扱いながら,ドキュメンタリーの手法を用いることで,さも事実であるかのように表現した映像作品
のべつまくなし:芝居で幕を引かずに演技を続ける意からひっきりなしに続くさま
黒文字:和菓子に添える黒文字とは、和菓子を切って口に運ぶための楊枝で、茶道具のひとつ。黒文字はもともと、樹に黒い斑点があるクスノキ科の木“黒文字”で作られたことから、茶道では黒文字、黒文字楊枝と呼ばれていた。