文庫情報
著 者 | 米澤 穂信 |
発行者 | 村上 和宏 |
発行所 | 文藝春秋 |
発行日 | 2010年6月10日 |
頁 数 | 522 |
あらすじ
「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給十一万二千円がもらえるという破格の仕事に応募した十二人の男女。とある施設に閉じ込められた彼らは、実験の内容を知り驚愕する。それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった――。いま注目の俊英が放つ新感覚ミステリー登場。解説・香山二三郎
文庫裏表紙
感 想(ネタバレなし)
インシテミルとは、「淫してみる」のことらしい。
淫とは「度を越して熱中する」とかそういう意味のようだ。それが本書においてどういう意味をもつかは、読んでみてほしい。
なんともミステリ愛に満ちた作品で、かの有名なインディアン人形は出てくるわ、ノックスの十戒も出てくるわ。
あらすじにあるとおり、作為されたミステリ空間なわけなので、それに相応しい謎解きが展開する構成はお見事。
殺人の方法ってあんなにたくさんあるんだな。
難しい言葉が結構あったので、メモ。
しわぶき・・・咳払い
撞球・・・ビリヤード
mortuary・・・霊安室
voult・・・金庫
マントルピース・・・洋室の壁につくりつけた、装飾的な暖炉
ケレン味・・・ハッタリやごまかしを効かせた演出
謬見・・・まちがった意見・見解
莞爾・・・喜んでにっこり笑う様子
感想(ネタバレ有白文字)
最初の殺人が起こらなければ、何も起こらず7日間が終わる。だけどそれだと実験にならないので、最初の犠牲者は、殺人と見せた自殺だった。
そこから疑心暗鬼になり次々と殺人が起こる。
犯人は多数決で決定するので、本当に犯人でなくても、牢獄に入れられる。
探偵、犯人、助手、証言者、被害者それぞれにボーナスがあるので、関口は10億を手に入れるため、全部の役を演じた。被害者になって10億越えようとしたところ、結城の援助で死ぬことはなくなった。でも最後たぶん自殺したけど。
凶器は12種類。だれが凶器を偽装したかがポイント。
須和名祥子は、次の開催者。今回は視察でもぐりこんでいた。でも死ぬかもしれない場面もあり得たんだから、たいした度胸である。
招待状を結城に送っているので、続編がありそうだけど、どうなんだろうか。