米澤穂信さん著『真実の10メートル手前』を読み終えたので感想を書きました。ネタバレ部分は白文字です。

著 者米澤 穂信
発行者長谷川 晋一
発行所東京創元社
発行日2015年12月25日
頁 数296

高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中を呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有様に違和感を覚え始める・・・・・・。太刀洗はなにを考えているのか?滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執――己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。日本推理作家協会賞受賞後第一作「名を刻む死」、本書のために書き下ろされた「綱渡りの成功例」など、優れた技倆を示す粒揃いの六篇。

単行本表紙袖

真実の10メートル手前

表題作。

あれ?ここで終わり?というようなところで終了。

そこが10メートル手前ってことなのかな?よくわかんない。

正義漢

人身事故。

めちゃくちゃ他人に迷惑をかける死に方。

これは事故か?他殺か?

そして太刀洗の記者魂とは。

恋累心中

三重県で起きた高校生の心中事件。

詮索と穿鑿 穿鑿には穴を掘るという意味も含まれる。

自身の犯罪の隠ぺいを図るために教え子に毒を飲ます教育者。狂ってる・・・・・・。

名を刻む死

人の価値は、その人が死んだ時にどれだけ多くの人が涙を流してくれるか それを見ればわかると言う――。

どこかで聞いたセリフですが、孤独死は避けたいものです。だから生前の生き方が大事なのでしょう。

本編の田上のようになりたくなかったら。

ナイフを失われた思い出の中に

道具は人間の能力を拡張するもの。

仕事も人間の器官の延長だとすれば、記者の仕事は?目の延長である。目の仕事は見たいものを見ること、よって記者の仕事は真実を伝えることではない。なんか太刀洗が言いそうにないことだったけど、あとで理由がわかってスッキリした。

目は真実を写す。見たいものしか見ないのは脳の仕業。

手記に込められたメッセージとは。

姉を庇うけど、誰か真実に気付いてほしい。

犯人は祖父。良知の勘違い。

綱渡りの成功例

コーンフレークに何をかけて食べたのか。そんなことが何に関係するのか?でもそれが人を救うこともある。

罪悪感を抱えたまま生きていくことができない人もいる。太刀洗万智はそんな人の心を救うことができるときもある。運しだいでもあるが。

でも自分が死にそうな時に、他人の家に入って冷蔵庫を使わせてもらうことにそんなに罪悪感感じるかな?

ぼくだったら、しょうがないじゃん、って開き直りそう。

感想まとめ

久しぶりの太刀洗さん。相変わらず素敵な人でした。

他の長編と比べると物足りないかもしれないけど、十分楽しめる内容でした。

やっぱり米澤さんは面白いですね。