ルイス・A・デルモンテ著、AI・兵器・戦争の未来の感想、まとめを書きます。
興味を持たれた方は、本書を読んでみてください。
第一章 はじまり
シンギュラリティは起こる。
シンギュラリティとは、技術的特異点といい、人工知能(AI)が人間の認知能力を超える時のこと。
シンギュラリティ後のAIには制御機能を付けておかないと、様々な理由から制御不能となる。予防策をあらかじめ考えておく。
そこがうまくいかないと、AI対人類のSFのような世界になっていく。
第二章 われは友好的ロボット
現在我々の生活のあらゆる面にAIは取り入れられている。
IoT、健康管理、広告、金融、警備、ビジネス、ウェアラブル、Eコマース、教育等々。
まさに生活全般といってもいいのでは。
健康管理でAIといえば、最近読んだ「ハーモニー」を思い出す。あれもAIやインターネットによる、健康監視社会の話だった。
そんなAI漬け(AI依存)の社会でシンギュラリティが起こったら?
第三章 われは凶暴なロボット
人の生活を豊かにするロボットがあれば、人に害をなすためのロボットもある。軍用兵器につかわれるAI。
時代はそのうち致死性自立型兵器――いわゆる「殺人ロボット」を使い始める。「ターミネーターの難問」、ロボットにどこまでの権限を与えるか?
第四章 新しい現実
・政治的現実
・技術的現実
・兵器的現実
の3点から現実を予想。
シンギュラリティは、2080年までに起こる。
核戦争は発生しないが、「限定的な核戦争」は起きるかもしれない。
著者はシンギュラリティが起こる、と主張しているわけだ。
第五章 全能兵器の開発
全能兵器――超絶知能(シンギュラリティ後のAI)が搭載された兵器。
超絶知能が人間の統制に従わなかったら、全能兵器も当然――。
なんか「psychoーpass」のシビュラシステムを彷彿とさせる。
第六章 自立型兵器の制御
脳内インプラントって「攻殻機動隊」みたいな感じかな?あれも面白いアニメです。
シンギュラリティは人知れずに訪れる――。
そして人類を凌駕したAIは果たして人類を友とするのか、敵とするのか?
第七章 倫理的ディレンマ
人類はアホだから、超絶知能の危険性を認識しつつも、全能兵器の開発、使用することを止めることはできない。
現在も戦争しているような人類だから、そうなんだろうな。
で、超絶知能を持ったロボットは人類を敵とみなすから、人類vs超絶知能の最終戦争となる。
どっかのSFの話ですかね。でも著者は大真面目に主張している。
うーん。手塚治虫ってすごい。
第八章 自動操縦による戦争
人工知能は、ロシアのみならず人類全ての将来を担う・・・・・・この分野におけるリーダーとなる者は、世界の支配者となるだろう。byプーチン 2017年9月
プーチンもこんなこと言ってるんですね。
想像力は知識よりも重要だ。知識には制限があるけれども、想像力は世界全体を包み込み、前進を促し、進化を生み出す。byアインシュタイン
エネルギーこそが「真の通貨」である。確かに。エネルギーさえあればあらゆることが可能になる。だからエネルギーこそが等価交換できる。エネルギー資源をもたない日本が弱いのも納得。
第九章 誰が敵なのか?
やっぱり人類は共通の敵がいないと、仲良くできないんですかね?
将来それは超絶知能をもっ全能兵器かも知れないし、宇宙からくるエイリアンかもしれない。
世界政府、できる気がしないですね。
各国、考え方が違いすぎる・・・・・・。
第十章 人類対マシン
マシンが超絶知能を搭載されたものであるならば、人類は勝てない。
人類は徐々にサイボーグ化し、超絶知能に支配され、人類ではなくなるからだ。
種としての人類は終わりを告げる。
終章 自律型兵器と全能兵器を規制する緊急性
『我々の惑星に住むあらゆる生命体と同様、それらはある目的に奉仕せねばならない。私にはその目的とは、我々人類に奉仕することだと思う。この目的に照らし合わせれば、地球の正当な継承者とは人類であり、知能マシンではない。』by著者
なにこれ。傲慢だな。地球の生命体の目的が人類への奉仕?そんなわけあるか。それぞれの種はそれぞれの種の繁殖以外目的はないのでは?
最後の章にきて全く賛同できない主張をきいて、萎えた。知能マシンが人類に奉仕するのはいいとしても(だって人類がそのために作ったものだからね)、その他の生命体は人類の奴隷ではないと思う。
感想まとめ
シンギュラリティが起こること前提で話が進んでいくが、本当にそうなのだろうか。
本書では、2050年までにAIは人間の知能に追いつき、2080年までに大幅に人間の知能を超越する、と言っています。
シンギュラリティ否定派の人たちは、AIは考えることができないから、人間の知能を超えることはない等と言っていたりします。
現時点ではどちらが正しいかはわかりません。
まあ、本書はシンギュラリティが起こった後の戦争や兵器の話をしているので、そこを信じない人は本書を読む必要はないでしょう。ぼくとしては、こういう世界もあるかもな、くらいで読んで面白かったですが。
まさに「攻殻機動隊」や「psychoーpass」のようなSFアニメの世界が到来するようです。
ただ、残念だったのが著者の最後の意見ですね。終章での「人類に対する奉仕」云々のところ。ちょっと傲慢な気がします。別に地球は人類のためにあるわけでもなく、ただ人類が地球に存在しているだけだと思うので。
人間の知識欲は抑えることができないので、AIの発展を止めることは難しいと思います。著者の言うように、今のうちから対策をたてることも大事だと思います。
なんにせよ、戦争や紛争に使用される悲しいAIよりも、人間の役に立ち、暮らしを豊かにするAIとして発展してほしいですね。