著 者 | 逢坂 冬馬 |
発行者 | 早川 浩 |
発行所 | 早川書房 |
発行日 | 2021年11月25日 |
頁 数 | 492 |
あらすじ
ドイツ軍に母親を殺され、味方である赤軍(ソ連軍)に母親の遺体を燃やされた少女、セラフィマ。
イリーナは言った「お前は戦いたいか、死にたいか」
セラフィマは答える「ドイツ軍もあんたも殺す!」
母親を殺したドイツ兵と、遺体と村を焼いた赤軍の兵士に復讐を誓い、軍に入隊する。
狙撃手として戦績をあげ、兵士として成長するセラフィマ。
復讐の果てに目にした真の「敵」とは――。
感 想
第二次世界大戦のソ連軍では実際に女性の狙撃兵がいたらしい。なので本作はかなり真実に近いフィクションなのでしょう。
戦争は常に悲劇。戦争したいのは権力者だけ。
登場人物の一人が言っていた、「皆が私のようだったら戦争なんて起きないのに」って言葉。たぶん世界中の大半の人は同じ考えだと思う。でも一握りの戦争したい人達を止めることができない。何故だろうか。
p237 「防衛戦争であるということが、これほどのポテンシャルを発揮するとは。」これはソ連側のセリフ。
今のウクライナがまさにそれで、一方的に侵略された方は国を守るために一般市民までもが必死に戦う。そのため、侵略者は思い通りに事を運べない。侵略側は自分たちの正義を信じられないから、士気もあがらない。現場でいかに士気が大切かがわかる。
p191 「きちんと体が機能しなければ、精神も崩れてゆく。」やっぱそうですよね。体と心は繋がってる。最近は心を整えるために、運動することを心がけています。
つらつらと書いていてよくわからなくなってきたので、まとめます。
本書は、女性の狙撃手を主人公とした物語です。仲間の大切さ、師弟の絆、幸せとはなにか。いろいろ考えさせられる重厚な物語でした。
女性を主人公としているので、戦争での女性の辛さも描かれています。目を背けたくなるシーンもあります。
戦争ではどうしても弱い人たちが犠牲になります。やっぱりこんな非人道的なことを行ってはいけない。早くウクライナの方々が、安心して暮らせるような社会に戻るように祈ります。
最後に、本書で「戦争は女の顔をしていない」のことが少し出てきました。女性の視点での戦争の本みたいなので、今度読んでみたいと思います。