本の情報
著 者 | 葉真中 顕 |
発行者 | 三宅 貴久 |
発行所 | 光文社 |
頁 数 | 387 |
感想ネタバレのため、白文字
ネタバレ含むため以下白字にします。
主人公は、人間には性善性があると信じており、罪人は必ず罪を悔やまなければならないと思っている。罪悪感を持つことで、初めて罪人は裁かれる、と思っている。
しかし、ロスト・ケアの犯人は自分が本当に正しいことをしたと思っている。世の中を良くした、困っている人を助けた、と本気で信じている。だから罪悪感を抱くことはない。
そして、犯罪が世間に知れ渡ること自体も犯人の思惑通り。話題になり、世間が注目すれば介護の現状も何か変わるかもしれない。この犯人は自分の命をかけて訴えたわけだ。
総じて面白い話だった。データだけで犯人を絞っていくところも面白かった。
印象に残ったところ
人は理屈ではなく「人を殺してはいけない」と思うもの。善性。これを君も持っている。でなければ、「なぜ人を殺してはいけないのか」という問いはたてられない。
利己的な振舞こそが結果的には世の中のためになる。 ⇒ 違う本でも同じようなことを見た気がする。人はそれぞれが個人の利益を求めるべきで、それこそが世の中を発展させる、みたいな感じだったかなあ。なんの本かは忘れた。
空が我慢の限界を超えた。 ⇒ 面白い表現だったのでメモ
メディアが垂れ流す想像力を欠いた良識 ⇒ これホントにそう思う。コメンテーターとか好き勝手言ってるけど想像力無いよな。ホントに辛い境遇の人とかの気持ちわかるわけないじゃん。SNSとかでも想像力ない人たちのバカみたいなコメントいっぱいあるけど、もっと考えて発言したほうがいいよね。
自分にできることなんてわずかなことしかない。それでもできることをやる。それしかない。 ⇒ 前向きになれる言葉。自分の仕事をちゃんとやろうと思う。
自らがしてほしいことを人にもせよ。 ⇒ ぼくは「自分がされたら嫌なことは他人にはするな」と教わった。自分がしてほしいことが、他人もしてほしいこととは限らないのでは?でもロスト・ケアの犯人はこの思考で罪を犯してしまっている。
トートロジー ⇒ 聞いたことはあったけどよく意味知らなかった。同義語反復といって、同じ意味の言葉を重ねていうことみたい。「やるときはやる」みたいなこと。
今後、日本はますます少子高齢化に拍車がかかっていく。それはもうどうしようもない事実。本書のような人たちの苦しみを少しでも減らすために、いろいろ対策してください、政府さん。乱痴気パーティしてる場合じゃないですよ。