本の概要
・夜の記憶
「十三番目の人格 ISORA」「黒い家」の本格デビュー前に書かれた貴重な一遍。貴志祐介ワールドの原点!
・呪 文
『新世界より』の刊行後ほどなくして発表された短編。惑星「まほろば」で何かが起きている。
・罪人の選択
「罪人」の前に出されたのは、一升瓶と缶詰。一方には猛毒が入っている。果たして正解は?
・赤い雨
新参生物のチミドロによって、地球は赤く蹂躙された。スラム出身の瑞樹はRAINの治療法を探る。最新SF!
夜の記憶
貴志さんの本らしい始まり方。「新世界より」や「ダークゾーン」のような感じ。世界観がよくわからなくて戸惑う。でも一回入ると面白い。
地球に住めなくなって記憶だけ機械に移植して、遠い星で生きているって設定だと思う。
そうまでして生きないといけないのか、人間ではなくなってまで生きる意味はあるのか、考えさせられる内容だった。
大地と共に無いと人は生きていけない。ラピュタでもそんな言葉があったような気がするけど、やっぱそうなんだろうな。
今ある自然を大切にしなくてはいけないと、地球を大切にしなければいけないと、改めて感じた。
主人公のように失ってから後悔しないように。
呪 文
惑星「まほろば」では諸悪根源神信仰がはびこっていて、人々は苦しみや痛みはすべて「マガツ神」にぶつけていた。諸悪根源神信仰に冒された惑星は必ず破滅するという。まほろばの運命は?
「新世界より」的な世界観と、今の地球の企業の将来を想像させるようなストーリー。GAFAとか、将来この話のような感じになっていくとか?
罪人の選択
缶詰と酒、どちらかに毒が入っている。食べて(飲んで)生きていられれば見逃してやる。という私刑の話。
表題作だけあって一番面白かった。トリックというか、オチが秀逸!
赤い雨
チミドロという生物に支配されてしまった地球。
スラムとドームとで完全に分断されている居住区。
スラムの人間達はチミドロの影響でRAINという病気を発症し死んでいく。
ドームは完全にチミドロを排除していて安全に暮らしていける。
スラム出身の瑞樹は、その高い能力でドームの中でチミドロの研究に従事していた。
そんなある日、RAINで死亡した人間の遺体を入手し、治療法の研究をしようとしたが―――。
ドームの中と外との環境の違いが凄まじい。現実も、もし致死率100%のウイルスとか、病原菌とかが流行ったら、特権階級だけが生き残れるような世界になっていくのかなあ。
まとめ
貴志さん好きなら読むべき一冊。
貴志さんワールドを堪能できます。