綾辻行人さんの「十角館の殺人」を読み終わったので、ネタバレなしで、感想書きました。

綾辻行人さんの「十角館の殺人」を読み終わりました。

綾辻さんは「殺人鬼」や「another」を読んだことがありましたが、館シリーズは手つかずでした。

なんでもっと早く読まなかったんだろう、と思わずにはいられません。これから館シリーズを順番に読んでいきたいと思います。

著 者綾辻 行人
発行者鈴木 章一
発行所講談社
発行日2022/8/4(新装改訂版第82刷)
ページ数本編453頁

あらすじ

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!87年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。

裏表紙より

裏表紙のあらすじを読んだだけで、ワクワクしますね。

奇妙な館。孤島。本格ミステリの匂いがプンプンします。

感 想

ストーリーは、かの「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせるものです。作中にもその作品名と、同じような小道具も出てきて、著者がオマージュしているのがわかります。

1987年に初版が刊行された本書。35年前ですか。スマホやノートパソコン等ない時代。古いかと思いきや、全くそんなことなく楽しめました。

帯には「”たった一行”が世界を変える」との文句が。この一行って、あの一行のことですよね。確かに、あの一行で全ての見方が変わりました。世界が変わるというか。そこから前を読み返しちゃいます。

作中や巻末の解説で、本格ミステリについて、いろいろと書かれていました。本格ミステリは、著者が提示する「謎」に対する読者の挑戦。本格ミステリは「謎とその論理的解明を主軸とした物語」である。この辺のミステリ論議も読んでいて面白かったです。

巻末の鮎川哲也さんの解説も面白かった。本格推理小説を書くことの難しさ。同じトリックは使えない。常に読者を驚かさなくてはいけない。そんな著者達への、一部の読者からの心無い「批評」。それに対する苦言。

ぼくは、ブログやツイッターで感想を書いていますが、絶対に、作品を悪く言わないように心がけています。ていうか、面白くなかったものについては何もつぶやきませんし、書きません。今後もネタバレはしないように、感想を書いていきたいと思います。

そういえば、ぼくが買った版は、新装改訂版の82刷。旧版は50刷まで出ていたみたいなので、合計で132刷。すごいですよね。

余 談

「人は神にはなれない。重要なのは筋書きではなく、枠組み。時々の状況に応じて常に最適の対処が可能であるような柔軟な枠組み」9頁。

プロローグの犯人のセリフ。仕事にも通じる部分があるな、と思い、メモりました。計画は緻密に、実行は柔軟性を持てるように。大事な着眼ですよね。犯罪に使わない方がいいとは思いますが。この部分からでも、犯人は頭の良い人物なんだと伺えますね。

作中で登場したなぞなぞ。

214頁。「上を見れば下にあり、下にあれば上にあり、母の腹を通って子の肩にあり。」

215頁。「春夏冬二升五合」←なんと読むのでしょうか。

今度、子供達にだしてみようっと。