本の情報
著 者 | 米澤 穂信 |
発行者 | 花田 朋子 |
発行所 | 文藝春秋 |
頁 数 | 275 |
あらすじ
崖の下
遭難したスノボ仲間が、刺殺体で発見された。犯人はほぼ特定できたが、凶器が見つからない。犯人は、なにを使って刺殺をしたのか。
ねむけ
ワゴン車が、軽自動車と交通事故を起こした。事故現場は、”深夜の交差点”聞き込みの結果、運転手が信号無視をしたという目撃情報が。しかし、複数の情報が不自然に一致している。
命の恩
行楽地として人気がある遊歩道で、人間の右上腕が見つかった。捜査が行われ、バラバラになった遺体にはいくつか不審な点が。そして犯人はなぜ、人目に付きやすい遊歩道に右上腕を捨てたのか。
可燃物
住宅街で発生した連続放火事件。捜査が進む中、容疑者の特定前に犯行が突然止まった。誰が何の目的で放火をしたのかもわからず、捜査は難航。しかし、この事件には意外な共通点が。
本物か
郊外のファミリーレストランで、立てこもり事件が発生。立てこもり犯は前科持ちの男だった。店内から非難した客と店員に事情聴取をするが、証言がどこかかみ合わない。
ネタバレ有感想(白文字)
1 開放骨折した骨で人を殺すって、自分もめちゃめちゃ痛そう。しかし、被害者嫌なやつだな。なんであんなヤツに、周りの友達はいいように従ってんの?
2 証言が不自然に一致したのは、皆、1人の証言を元に証言していたから。寝ていたことがばれると困るから、起きていたと言えるように、真似していたということ。証言って普通一致したりしないみたい。それは江戸川乱歩の小説でも書いてた気がするなあ。
3 保険金のために自殺を他殺に見せかけたってことか。なので首つりの跡を隠すために首を2か所切ったわけだ。命を助けられたからって、自分が殺人者として逮捕されても恩を返すって、そこまでするもんかな。命は重いのはわかるけど。
4 火事を起こさないように、放火する。矛盾しているけど、理解はできる。絶対しないけどね。
5 子供を人質にとられちゃ、言うこと聞くしかないよな。自分が立てこもり犯にされようとも。しかし、葛は欲もなく、事件の解決と防ぐことだけを求めていて、刑事としての矜持がすごい。魅力的なキャラがまた増えましたね。
総合的に、大満足。面白かったです。
勉強になりました
阿諛追従:相手に気に入られようと調子のよいことばかりを並べ立てこびへつらい、相手の機嫌をとり従うこと。「阿」は、相手におもねること。「諛」は、へつらう態度のこと。
説諭:教え諭すこと。自分と同等またはそれ以下のものに、悪い点を改めるように、よく言い聞かせること。また、警察官が微罪な者などに対して、厳しく注意を与えるだけで公的な罪科にしないこと。
臆断:おしはかって決めること。憶測による判断。
放歌:あたりをはばからず大声で歌うこと。
隔靴掻痒:痒いところに手が届かないように、はがゆくもどかしいこと。思うようにいかず、じれったいこと。物事の核心や急所に触れず、もどかしいこと。靴を隔てて痒いところをかく意から。
【印象に残った言葉】
直観とは観察力の蓄積が警告を発すること。
自分は自分で育てるもの