瀧本哲史論文集を読んだので感想を書きました。

瀧本哲史さんは京都大学の客員准教授であり、エンジェル投資家。

君たちが未来を変えろ

「平時」の世にありながら、常に「非常時」の人として若き有為の人材と真摯に対峙し続け、2019年に夭逝した投資家にして教育者、瀧本哲史が来たるべき非常時の時代に向けて記した論考は、ベンチャー経営戦略論、決断と交渉術、組織論、選書リスト、そして、ついに絶筆となった大学生たちに向けた檄に至るまで多岐に渡る。これらの武器をどう受け取り、どう使い、どう未来を変えていくか?すべては、この本を手に取った「君たち」に託されている。

表紙袖より

勝てる土俵で戦う ビジネスアイディアと起業マーケティング

なぜ起業テーマが重要なのか どうやって事業領域を決定するのか

①業界を選ぶ 逆風で勝負は厳しい
②顧客を選ぶ 誰が、提供される商品やサービスに対価を支払ってくれるか
③商品を選ぶ 何を顧客が求めているか サービス?体験?

なぜ同じような起業テーマでも差がつくのか

①タイミング 早くても遅くてもダメ
②オペレーション 実行できるか?
③人材 ビジネスではなく、人に投資せよ。

事業領域を選ぶための4ステップ

①アイデア導出 大量のアイデアを出す。数を追求。時間で区切る。人で区切る。パクる。
②アイデア改善 長所を強化、弱点を回避
③アイデア評価 優先順位を付ける
④絞り込み 自分の時間をつぎ込むに足る1つのアイデアに絞り込む。情熱を注ぎ込めるかどうか。

マクロ要因から見た起業テーマの選び方

①顧客需要特性 需要の多様性はあるか
②産業構造 独占度が低いか
③産業の成熟度 ニッチな市場
④リソースの利用可能性 

自分の強みから見た起業テーマ発掘法

①業界経験 業界の知識、経験、ネットワーク
②事業の成功要因と起業家のスキル 一致している
③真実の瞬間 ストーリー

システマティックなアイデア発想法

①元となるアイデアの候補出しと軸出し
②アイデア要素の一部変更 オズボーンのチェックリスト
③アイデアのリアリティチェック

アイデア評価の3つのポイント

①市場性
②顧客の数
③顧客の購入頻度

起業におけるマーケティング

①マーケティングの定義 「買わないことを選択できる第三者に、喜んで自らの購買力と交換してくれるものを提供する活動」ドラッカー
②マーケティングの目的 限りある資源が人々の必要とすることに効率良く役立てるように、資源配分を行うこと。
③自由社会を担う最も基本的な考え方 人々の合意、Win-Winの関係、マーケティングは自由社会の基本的な考え方であり、全ての人が身に付けなければいけない考え方

ベンチャー企業の強み、弱み

強み トライ&エラー
弱み 少ない資源

大企業の強み、弱み

強み 資源力
弱み 失敗できない、新しいことがやりにくい

ベンチャーのマーケティング

①焦点を絞る
②トライ&エラー
③リスクマネージメント

初期顧客の探し方

①新しもの好き(マニア)
②初期採用者(可能性追求)

一気に市場に普及させる方法

キャムズ 
〇〇で問題を抱えている
〇〇向けの
〇〇の製品(サービス)であり
〇〇することができる
〇〇とは違って
〇〇がこの製品には備わっている

ベンチャーならではのマーケティング

4C 
①顧客価値 顧客から見た価値
②顧客負担 価格だけではない、手間等も
③入手容易性 顧客の立場に立った時の手に入りやすさ
④コミュニケーション 企業と顧客双方向のコミュニケーション

出口戦略について

出口戦略は重要。起業時から出口を計算しておい方がいい。

株式公開

メリット

①資金調達が容易になる

②買収による成長が可能になる

③人材調達が容易になる

④会社の社会的信用が高まる

⑤会社の質が上がる

デメリット

①企業秘密を守りにくくなる

②一般投資家の要求に振り回される

③公開準備や情報公開の事務作業量が増える

④コンプライアンスの要請が格段に高まる

⑤第三者からの干渉や買収リスクがある

⑥会社の雰囲気が悪くなる

会社売却

メリット

①会社の成長が加速される

②出口としての確実性が高い

③まとめて退出できる

デメリット

①会社の価格評価が辛くなりやすい

②潜在能力を発揮できなくなる可能性がある

③競合企業に情報開示するリスクがある

事業の終了

黒字化できずに、終了してしまうケース。

武器としての29冊

①法華経入門

②君たちはどう生きるのか

③ベーコン随想集

④バッハの生涯と芸術

⑤契約の再生

⑥100万回生きた猫

⑦君主論

⑧韓非

⑨フリーメイソン

⑩ニーチェとの会話

⑪今こそマルクスを読み返す

⑫行政の経営分析

⑬プロパガンダ

⑭民主主義という不思議な仕組み

⑮民法改正

⑯試験に受かる1日15分速読勉強法

⑰勝つ戦争学

⑱その数学が戦略を決める

⑲権力の予期理論

⑳イノベーションのジレンマ

㉑キャズム

㉒アメリカを創ったベンチャー・キャピタル

㉓セイヴィング・キャピタリズム

㉔足利義満消された日本国王

㉕個人と国家

㉖ソーシャルメディア進化論

㉗超・格差社会アメリカの真実

㉘ジョルジオアルマーニ帝王の美学

㉙名著で学ぶインテリジェンス

最後に、ピーター・ティールの「ゼロ・トゥ・ワン」を激推ししてる。

新しい世界を創る5つの法則

①世界を変える旅は「違和感」から始まる

 ナイチンゲール、グーグル、マトリックス

②冒険には「地図」が必要

 大胆な仮説、空白地帯に旗をたてる

③一行の「ルール」が世界を変える

 グーグル、アップル、嘉納治五郎

④全ての冒険には「影の主役」がいる

 リーダーだけで革新的なことができるわけではない

⑤未来は「逆風」の向こうにある

 「賛成する人がいない真実」こそが未来

まとめ

瀧本さんは「ミライの授業」を読んだことがあって、印象に残っている。その本は「なぜ勉強をしないといけないのか」がわかりやすく説明されており、子供が中学生になったら是非読んでもらいたいと思っている。

本書については著者である瀧本哲史氏の、これまでの著書の内容から少しづつ抽出して、1冊の本にしているような感じだ。

中でも、「起業塾」の部分が大半を占めており、特に1章はベンチャーで起業を考える人にとっては一読の価値があるのでは。

ぼくが本書で印象に残っているのは「マーケティング」と「キャムズ」のところ。

マーケティングの考えは自由市場では全員(消費者も)が知っておくべきことだそうなので、今後少しマーケティングの勉強をしてみようかな。

キャムズについては、市場に普及させる方法として、「誰の問題をどのように解決するか」といったテンプレートが紹介されていた。これはブログのリード文のテンプレにそのまま使えるのでは?と思ったので、印象に残った。

その他にも、29冊の紹介された本は、どれも興味ありそうなものばかりなので、読んでいきたいと思う。作中には紹介された本の概要も書かれていた。

本記事では、内容はほぼ目次形式にしてあるので、一見しただけでは理解できないと思います。興味がある項目があったら、是非本書を手に取ってみてください。

著者は言います。「カオスの時代の若者たちへ。武器を取れ。

思考し、行動せよ」