江戸川乱歩傑作選を読んだ感想と各話のあらすじ紹介。

江戸川乱歩傑作選を読み終えたので、あらすじと感想書きました。

夏の新潮文庫の100冊で、本書を選びました。以前乱歩の陰獣を読んで面白かったので。

二銭銅貨

ある家から五万円という大金が盗まれた。犯人は逮捕されたが、金の隠し場所は頑として喋らない。その中、ある銅貨から暗合を発見した松村は、暗合を解読するが――。

二廃人

ある夢遊病者の話。夢遊病者の犯罪。夢遊病者は寝ている間に自分が何をしているのか、本人は知らない。昔起こしたある殺人事件。井原は本当に人を殺してしまったのか――。

うーん、寝てる間って自分でなにしてるかわからないから、怖いですよね・・・・・・。

D坂の殺人事件

惨殺された本屋の細君。本屋に誰かが侵入した形跡も出て行った形跡もない。これは不可能犯罪なのか?
目撃者に関する蘊蓄は面白かった。目撃者って意外と頼りにならないんですね。

心理試験

老婆を殺害し、大金を奪うことを決心した蕗屋。全て上手く行き、判事は犯人を決することが出来ないでいた。そんな判事は得意の心理試験を用いて犯人を特定しようとするが――。

心理試験の結果のページ、しっかり見てたんだけど、気づかなかったなあ。

大岡越前とかも、知らずに心理試験を用いて裁いていたってのは面白かった。

赤い部屋

「意味がわかると怖い話」の赤い部屋ではなかった。
部屋中を赤い垂れ幕で覆い、その中で怖い話をするという話。新参者のT氏は今まで99人の人間を殺害してきたと言う。理由は退屈を紛らわすため。そして絶対に捕まらない方法で殺しているため、今も捕まっていない。果たしてその方法とは。

未必の故意の故意?

屋根裏の散歩者

退屈を紛らわせるために悪事を企む三郎。ある時、アパートの押し入れから屋根裏に上がれることがわかり、そこでは隣人達の普段とは違う顔が見れて、退屈を紛らわすことができた。屋根裏を散歩し始めて、数日経ったある日、ある男が大口を開けて寝ているのを天井から見たとき、三郎は決心した――。

退屈を紛らわせるために――って多いな。昔から人間は退屈していたのかなあ。

人間椅子

大きな椅子の中に隠れて、夜な夜な盗みを繰り返す男。ホテルに置かれたその椅子は昼間は男が潜んでいるとは知らずに様々な人が座る。男は次第に座った人達に惹かれるようになっていく。そして、今、その椅子は何処に――。

ちょっと怖くて不思議な話。面白かった。

芋 虫

現代では書けなさそうな内容。とりあえず読んでみてください。

感想まとめ

ぼくは「心理試験」「赤い部屋」「人間椅子」の3つが面白かったな。

本書で、退屈凌ぎに○○をする、というような内容がいくつかあった。最近読んだ本で「暇と退屈の倫理学」という本がある。退屈というのは人間の敵だ。退屈を無くすためにいろいろ考えなければいけない。そうしないと、本書の登場人物のように、退屈凌ぎにあれやこれやしてしまうのだろう・・・・・・。