夕木春央さんの「方舟」を読み終わったのでネタバレなしで感想を書く

夕木春央さんの方舟読み終わりました。

ツイッターであまりにも話題になっていたので、我慢できずに購入。一晩で読み終わりました。

今後しばらくはこの作品を超える衝撃は、味わえないのではないでしょうか。小説を読んで鳥肌たったのは、過去にも数回しかありません。それぐらい面白かったです。

ネタバレなしでどれくらい面白さが伝えられるかわかりませんが、とりあえず書いてみますので興味のある方はご覧ください。

この興奮を誰かと分かち合いたい!!

著 者夕木春央
発行者鈴木章一
発行所株式会社講談社
本文データ制作講談社デジタル制作
印刷所株式会社KPSプロダクツ
製本所株式会社国宝社
装 画影山徹
装 丁小口翔平+畑中茜
2022年9月6日第一刷発行

倫理的問題

【トロッコ問題】――線路をトロッコが走っている。その先の線路は二つに分かれている。右の線路には5人が倒れている。左の線路には1人が倒れている。このまま進めばトロッコは5人を轢いてしまう。貴方は進路を左に変えるレバーを握っている。貴方はどうする?

【カルネアデスの板】――Xが乗っていた船が沈んで、溺れそうな時に板切れが一枚浮かんでいた。それにしがみついていたときに、もう一人板にしがみついてきた。このままでは二人とも沈んでしまう。その人を突き放して溺れさせた時に、Xは罰を受けるのだろうか?

【緊急避難】自己又は他人の生命,身体,自由又は財産に対する現在の危難を避けるため,やむを得ずにした行為は,これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り,罰しない。ただし,その程度を超えた行為は,情状により,その刑減軽し,又は免除することができる。

刑法37条1項

あらすじ

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。タイムリミットまでおよそ1週間。生贄には、その犯人がなるべきだ。――犯人以外の全員が、そう思った。

帯より

地震によって岩が転がってきて地上への扉が塞がれるのですが、その岩をどかす仕掛けが地下2階にあり、その仕掛けを動かす部屋の扉が、岩をどかすことで、その岩でふさがれる、ということになります。うまく説明できませんが、地下1階の岩を地下2階に落とすようなことですかね?

なので、その仕掛けを動かす人は、その仕掛けのある部屋に閉じ込められることになります。

だから、1人を生贄に、というような流れになるわけです。

この地下建築が、いわくつきのもので、このような仕掛けがされているようです。侵入者から逃げれるように、みたいな感じですね。ちなみにこの仕掛けのある部屋は、本来は外界に繋がっていたようです。

地震によってクローズドサークルになったわけですが、そこで殺人が起こるんですね。

なぜ?だれが?ともかく、これで生贄はその殺人犯にやってもらおうじゃないかってことになるわけです。

そんな感じで、犯人を見つけるために頁が進んでいくんですね。

ってネタばれなしで書けるのはここまでですね。ここまでは最初の数十頁くらいなので、大丈夫でしょう。何を書いても危ない気がするので、あとはぼくの感想にしておきます。

感 想

感想もなにを書けばネタバレに触れないかな?

ぼくがこの環境に置かれたら、どうするんだろうか。矢崎さん一家のように家族で閉じ込められたら、ぼくは生贄に立候補することができるかな?

家族なら、絶対裏切られることなく、助けを呼びに行ってくれると思うから、1週間持ちこたえれるかも。でも溺死は嫌だから、タイムリミットに楽に死ねる準備はしたいかなあ。

まあ、助けを呼びに行くのも時間がかかるし、助けること自体にも時間がかかるって設定だから、矢崎さんのお父さんも決心できなかったんだろうね。残される一人は確実に死ぬって認識だったからなあ。

なかなか倫理観を試される小説でもあったけど、やっぱりなにより内容が良かったですね。しっかりとした本格推理小説で、論理的に犯人を特定していくところは読みごたえありました。

ぼくが書けるのはこれだけですね。

読んでください。そして、衝撃を受けてください。最高の読書時間になると思います。こういう本に出合えるから、読書はやめられないし、読書が趣味でよかったと思えます。

ツイッターで知った本でした。ツイッターやっててホントに良かったと思います。

あ~、次に読む本迷うなあ。