世界は美しくて不思議に満ちている

『世界は美しくて不思議に満ちている』を読み終えたので感想を書きました。

非常に面白くて、勉強になる本でした。興味のある方は一読してみてください。

「情報過多の時代、答えのない問いこそ、もっとも面白い問いなのだ。」

なぜ若い女性がいいのか

人間は狩猟採集の時代から進化していない。これはいろんな本で言われていること。なので、デジタルの社会に適応できずに精神的、身体的に不調になる人が多い。

人間のメスの生殖能力の最盛期は22歳。動物の本能は種の存続。したがって、オスは生殖能力が高いメスが好きだし、メスは自身を若く見せようとする。

チンパンジーは生殖能力期間が寿命と一致しているため、若いメスが好きということはない。むしろ若いメスは経験が少ないので、子を育てる能力が低いことから敬遠される。

人間は寿命が伸びすぎたこともあり、生殖能力期間(若い)のメスが好まれる。

ヒトは共同繁殖

共同繁殖とは、親以外の個体が何らかの形で子育てに関わること

ヒトは、成長が遅く、そのため自立も遅い。さらに寿命が長い反面、繁殖可能期間は短い。ヒトは共同作業しないと生きていけない。子育てにかかる労力が多大

繁殖可能期間が終了した個体は、孫を育てる係になる。

新たな狩猟採集というニッチェに進出した人類は、社会集団をつくり、共同作業しないと生きていけなくなった。「ニッチェ」とは、生態学用語で、ある生物が、生活する環境や、そこでその生物が利用する資源のこと。

この本をもっと早く読んでいれば、意識改革できて、子育ての大変な時期にもう少し妻を助けることができたと思う。当時の自分が恥ずかしい。

持続可能性

環境の保護は子孫のためになるのか?なぜわかっているのに環境破壊を続けるのか。

それは、「財産を残す」などのように、種の存続に直結している実感がないからなのか。

「環境保全」が漠然とし過ぎていて、何をすることが自分の子孫の利益になることなのかが明確ではない。

そこが明確になれば、人類の本能として、環境保全が進められるのだろう。

虐 待

ヒトの子育ては非常に労力が多大 ⇒ 社会的サポートがなければ、できない ⇒ 親が孤立して子育てをすることができない

ヒトは複数回繁殖可能なので、現在の子育てが適切な状況でないと判断したら、今の子育てをやめて、次の繁殖に賭けるという選択肢を常に持っている。

現代は、個人主義やプライバシー保護に基づく考えによって、孤立して子育てをする家族が多い。共同繁殖という人類の大前提に立ち返って考えないと、問題を解決することはできない。

宗 教

宗教とは「既知の物質には還元できない何らかの超自然的存在を仮定し、それによって世界を説明し、人間がするべきこと、してはならないことについての教訓を示す」もの

これは古今東西すべての人種にある概念。人類に普遍的なもの。

宗教の役割 ①世界の成り立ち、人類の出自の説明 ②道徳的判断の指針 ③救い ④死後の説明 ⑤内集団と外集団の区分

宗教の役割が人類の存続に必要だったから、進化の過程で宗教という概念は育ち、無くなることがなかった。

現代社会

今の社会をよりよくするには?

ヒトの進化の歴史を知ることが大切。

ヒトの出現 20万年前 1万年前に農耕と牧畜が発明 それまでは狩猟採集。

全ての期間でコミュニティの全体で子育てをしてきた

「働く女性のために保育所を」ではなく「ヒトは共同繁殖の動物なのだから、共同繁殖のネットワークを再構築せよ

ヒトの最大の特徴は「協力」「共感」「高度な社会性」であり、最大の強み。

ヒトは独りでは生きられない

人類の成功の秘訣は、互いに心を共有し、共感し、同じ目標に向かって協力できる動物であることを多くの人が認識すること。

科学技術は我々をどこへ連れていくのか。個々の知的欲求が全体としてどうなるかなどは誰にもわからない。

感想まとめ

ヒトがどういう生物なのかがよくわかる本だった。もっと早くに読んでいれば、妻や家族に対して違うこともできたのかな。まだ遅くはないから、努力しよう。

まずは、できることから。子育て、家事をもっと積極的にやっていこう。