時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語。
モモ、ずっと小さいころに読んだことがあって、難しくて途中で読むのをやめてしまった物語。今読んでみてこんなに面白い物語だったのか、もっと早く読んでおけばよかったと後悔しています。
あらすじ
主人公は浮浪児の「モモ」。
モモは不思議な力を持っている。それは「話を聴く」こと。
その力で、町の人たちの様々な問題を解決していく。
平穏な日々を送っていたモモたち。
町では「灰色の男」達が暗躍していた。灰色の男たちは「時間貯蓄銀行」の外交員。「人生の無駄な時間を節約して将来を豊かに過ごそう」と、時間の貯蓄を勧めてくる。
時間の貯蓄をする人々が増えていく中、モモの友人たちも人が変わったように、忙しない生活をするようになっていく。
浮浪児であるモモだけが、「時間」に縛られない生き方をしていたため、灰色の男たちに目を付けられるようになる。
そしてある出来事から灰色の男たちの「秘密」を知り、モモは世界を救う冒険の旅へ――
感 想
この物語のテーマは「時間」です。時間ってなんなんでしょうか。
時間とはすなわち生活なのです。そして生活とは、人間の心の中にあるものなのです。人間が時間を節約すればするほど、生活はやせ細って、なくなってしまうのです。
第6章 インチキで人をまるめこむ計算 95ページより
作者は豊かな生活には時間が必要だと言っています。
灰色の男は言います。
人生で大事なことはひとつしかない。それは、なにかに成功すること、ひとかどのものになること。たくさんのものを手に入れることだ。ほかの人より成功し、えらくなり、金持ちになった人間には、そのほかのもの――友情だの、愛だの、名誉だの、そんなものはなにもかも、ひとりでに集まってくるものだ。
第7章 友達の訪問と敵の訪問 126ページより
時間を削って、子供と遊ぶ暇もなく働いて、本を読む間もなく働いて、寝る間も惜しんで働いて、成功する。
それは幸せなのでしょうか。
私は「灰色の男」は「資本主義」と読みました。時間を貯蓄しているのは私たち自身です。本書で時間貯蓄している人たちは現代の私たちに酷似しています。その貯蓄した時間は将来使うことができるのでしょうか・・・・・・
本書の結末は、読んでみてください。でも私たちの世界に「モモ」はいません。自分の中のモモを大事にして、本当の意味で豊かな生活をしていきたいと思いました。
最後に・・・・・・
モモってアニメとかになってるんですかね?私は知りませんが、描写が綺麗で幻想的な箇所がいくつもあったので、現代の綺麗な絵のアニメがあったら面白そうだなって思って読んでました。モモは、「約束のネバーランド」のエマの外見を勝手に当てはめていました。