ハーモニー 感想・紹介

伊藤計劃さんの「ハーモニー」を読み終えたので、感想書きました。

あらすじ

「一緒に死のう、この世界に抵抗するために」――御冷ミァハは言い、みっつの白い錠剤を差し出した。21世紀後半、〈大災禍〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は医療経済を核にした福利厚生社会を実現していた。誰もが互いのことを気遣い、親密に”しなければならない”ユートピア。体内を常時監視する医療分子により病気はほぼ消滅し、人々は健康を第一とする価値観による社会を形成したのだ。そんな優しさと倫理が真綿で首をしめるような世界に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択した――。それから13年後、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、かつて自殺を試みて死ねなかった少女、現在は世界保健機構の生命監察機関に所属する霧慧トァンは、あのときの自殺の試みで唯ひとり死んだはずの友人の影を見る。これは”人類”の最終局面に立ち会ったふたりの女性の物語――。『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。

裏表紙より

世界観

人は、医療分子を肉体にインストールし、健康管理サーバーに接続され、生活習慣を徹底的に管理される。

健康に悪い生活習慣を徹底して社会から消し去ることに。

酒、たばこ等は社会的には抹殺されている。紛争地帯とかにいかないと手に入らない。

実年齢80歳越でも見た目は40とか。

健康管理が行き過ぎてる世界。

今の健康重視が行き過ぎると、こんな感じになっていくのかな?

感 想

「虐殺器官」ってフレーズがでてきた。もしかして、虐殺器官のその後の世界なのかな?

全ての人間が完璧にハーモニーを描く世界。完璧な人間の完璧な運営による完璧な社会。でもそれって「生きてる」っていえるのか

二分間憎悪ってワードが。1984年にも影響を受けたという作者らしい。

フィクションには、本には、言葉には、人を殺すことのできる力が宿っている。

自分の躰を外注に任せる。ますますこんな世界になっていきそう。

残念な所が。341ページ クライマックスに誤植があって、超重要な場面なのに、人名がミスってたため、「え?」ってなった。なんでこの人がここで出てくるの?って。ミスだよなあ、と思いつつ、裏があるのかと読み返してしまった。

メ モ

ウェルテル効果=著名人の自殺報道に影響されて一般人の自殺が増える現象

ナツメヤシ 命の象徴 美しさ、勝利の象徴

「くそうず」って呪術回戦にでてくる。人間が死んで朽ちていく様を描いた絵のことらしい。