ジェフリー・S・ローゼンタール著『それはあくまで偶然です』を読み終えたので、印象に残ったことを書きました。

著 者ジェフリー・S・ローゼンタール
監修者石田 基広
訳 者柴田 裕之
発行者早川 浩
発行所早川書房
頁 数552

概 要

7回雷に打たれた人、名選手の56試合連続安打、生き別れの父娘の仕事や生きがいがそっくり・・・・・・とてつもない幸運や不運のなせるわざと思える事象も、実はすべて「偶然」に過ぎない。ではなぜ、人はそこに「必然」を見出してしまうのか?こうした性向がもたらす損や不合理とは?確率・統計を専門とする数学者が、ランダム性にあふれた世界の諸事情を読み解き、思考の罠を回避するためのリテラシーをユーモアを込めて説く。

文庫裏表紙より

人はなぜ思い込みや運の罠に陥りやすいのか。

1 人は物事に対し説明があり、道理にかなったものであってほしいという本能がある。

2 意味がないよりは「物語的であった方が面白い」「意味や意義があってほしい」と思っている。

運の罠

【それ以外の原因】ある効果が、当初それらしく思われるものとは、異なる現象の結果であるとき。

【バイアスのかかった観察】特定の証拠を考慮に入れる一方で、他の証拠を見逃したしたり無視したりするとき。

【異なる意味】ある効果が実は、当初証明していると思われることとは、非常に異なることを証明しているとき。

【特大の的】ある効果が、実は当初思われていたよりもはるかに達成しやすいとき。

【よく組み合わさる事実】複数の効果がどれも緊密に関連している。したがって、さらなる証拠をみかけほど多く提供しないとき。

【偽りの報告】事実が、主張されている内容とは違うとき。

【隠れた助け】何かしら明白ではない要因があり、それがないときよりも、ある効果が表れる可能性が非常に高いとき。

【まぐれ当たり】ある出来事が、純粋にランダムな運だけによって起こるとき。

【大勢の人】大勢の異なる人が同じ効果を達成しようと別個に試みたとき。

【下手な鉄砲も・・・・・・】同じ、あるいは似た効果を達成する別個の機会が多くあったとき。

【何度のうちの/いくつのうちの】それぞれが似た効果を達成しえた、異なる組み合わせの候補の数を考慮にいれること。

【プラシーボ効果】観察結果が、心理的要因の影響を受けているとき。

【散弾銃効果】似た効果を達成しうる、異なる方法が多くあったとき。

【掛けるべきか、掛けるべきではないか】異なる事実が、組み合わさる影響にあるかどうか、すなわち、それらがみな同時に起こる可能性が、個々の可能性を単純に掛け合わせたよりも大きいかどうか、という問題。

感 想

本書の肝の部分は、上記の「運の罠」の部分にあるのだと思う。

様々な事例を紹介しながら、その事例が上記のどれに該当するのかを説明し「それはあくまで偶然です」と結論付ける。

人生には、運命めいたことがあるかもしれないけど、それは上記の14個のどれかに該当しているのでは?

それを、どうとらえるかは個人の自由。人生には「必然」があった方が面白いのか、全ては「偶然」だと思った方が楽しめるのか。