過失を犯して、そのままにしておくのが本当の過失。
良い判断とは、悪い判断をしないことと同義。
金づちしか持っていない人には、全ての問題が釘に見える。
など、参考になりそうなことがたくさん書かれていたので、紹介したいと思います。
地図理論
地図はそれが表すものの縮小版 「縮小」は有用だが、不完全。地図は過去。
地図は抽象化された道具である。それを使い現実をとらえるには、本質を見極める力が必要。地図を絶対に正しいものと思わずに、現実に即してアップデートすることが大切。地図はあくまでガイドとして使うもの。世界をシンプルにするもの。
能力の輪
自分の能力領域を意識すること。
①自分が知っていること ②自分が知っていると考えていること ③自分が知らないこと
①は専門領域として深く学ぶことが大事、かといってすべてを知っているわけではないと自覚し、謙虚に学び、達人になる。
②他人の意見を聞き、失敗を謙虚に受け止める。
③自分の境界がどこからかを明確にし、能力外にいると感じたら、判断が難しいことを自覚する。
なるべく能力内にいたほうがよい。門外漢の分野では他人の意見をよく聞き、知ったかぶりをしないこと。
第一原理思考
「根本」を考える。物事の原点から考えてみる。
ものごとの根底にあるアイデアや事実を先入観や憶測から切り離す。ものごとの本質を浮かび上がらせる。
ある状況におけるもっとも本質的な要素を特定すること。
原理がわかれば手段は変えられる。
何かについて「これはあるべき姿ではないかもしれない」と考えてとりかかると「第一原理」を見極めるのに適した心構えができる。「第一原理」の真の力は何かをやみくもに変えようとするのではなく、本当にうまくいく可能性のある選択をすること。
ソクラテス式問答法
①なぜ自分はそれについて考えているのか?自分の考えはどういったものか?
②これが真実だとどうやってわかる?反対のことを考えたらどうなる?
③裏付けはどうやる?その材料は?
④他人はどう考える?どうすれば自分が正しいとわかる?
⑤間違ったらどうなる?どんな影響がある?
⑥なぜそう考えた?
勘に頼ることがなくなる。深い知識が得られる。
なぜなぜ分析
反証可能な事実が導き出せるまで「なぜ」を繰り返す。
ある複雑な問題に対して確かな事実である「第一原理」を仮定や推論から分離できるように用語や概念を体系的に掘り下げることを目指す。
思考実験
頭の中で「仮説」を試す。
想像力で世界を検証する。
「ものごとの本質を究明するために用いることのできる想像力の装置」が思考実験
自分が知っていることの限界と、やるべきことの限界を知ることができる。
①「質問」をたてる
②「背景情報」を調べる
③「仮説」をたてる
④思考による実験
⑤結果を分析し結論をだす
⑥仮説と比較し、必要に応じて新たに質問する。
条件を変えて何回も試す。
もっとも公平な社会をつくるには、設計者は「無知のベール」をかぶるべき。
自分に有利になるような情報を知らない方が公正なルールを作ることができる。
二次的思考
先の「先」を読む。常に二手先を読む。
行動がもたらす長期的な影響を考え、ものごとを全体的な視点から考える。
影響の影響を考える。目先の利益を追い求めても、長い目で見たらそれに見合わない損失を被ることは多い。
今自分が行っている行動は未来にどういった影響を及ぼす?
誘惑に負けてお菓子を食べる。面倒くさがって運動をしない。これは自分の未来にとっていいことだろうか。未来を考えることは人間特有の能力だと聞いたことがある。
二次的思考、取り入れたい考え方だ。
確率思考
「正確」に見通す。不確定な未来を計算する。
①ベイズ的推論:新しいことについて考える時は事前に知っている知識を考慮に入れる。
②ファット・テール分布:正規分布に似ているが、裾の部分が厚く、極端な出来事が発生する確率が高い不確実な世界。予測するか、備えるしかない。備える方が効果的。チャンスになる可能性が高いと思われる状況を探す。正しい失敗の仕方を学ぶ(立ち直れないようなリスクは負わない。失敗から学んで再出発する回復力を身に付ける)
③非対称性:推定した確率値そのものが有効である確率。楽観的な推定は大体外れる。
あくまでも大まかな目安を示すものであって100%の成功を保証するものではない。
何が重要かを大まかに把握し、確率を考え、前提条件を確認し、決断する。
反転思考
ある状況に対して思いつく視点の「反対側」からのアプローチ。
終わりから突き詰める。
常に逆を考える。
何をしたら問題が悪くなるか考える。
金持ちになろうとするのではなく、貧乏にならないようにする。
そもそもこの問題を発生させないためにはどうするべきか。
逆から考えるってのはよく聞く話。終わりの絵姿を描いてから臨むと、狙った成果を得られやすい。
オッカムのかみそり
とにかく「シンプル」に。単純性のすばらしさ。
シンプルな説明は複雑な説明よりも真実である可能性が高い。ということを認識しておくこと。
不必要な仮定はいくつも立てない。
要素が多いほど不正確になりやすい。1%間違っている要素が99個あるとき、その中の3つの要素を条件とする場合と、30個を条件とする場合では30個の場合の方が間違いである可能性が9倍高い。
まあその通りか。1%の間違いが積み重なるわけだから。複雑な道の方が迷子になりやすいのと同じ?ちょっと違うか。
ハンロンのかみそり
考えすぎないこと。問題は悪意よりも無知から起こる。
相手の行為が単なる愚かさで説明できるものなら、必要以上に悪意を想定しないこと。
思っている以上に悪人は少ない。
問題は、人の怠惰、無知、間違い、浅はかさ、愚かさから起こる。
行動のエネルギーがもっとも少ないもの(無知や怠惰)は積極的な悪意を要する動機よりも発生する可能性が高い。
目からウロコだった。やっぱり「めんどくさい」ことをあえてやらなくちゃいけないんだろうな。宮崎駿さんだったかな?「世の中の大事なものは大抵めどくさい」って言ったの。
めんどくさいことこそしっかりやれば、問題は局限できるのかも。
おまけ 必要性と十分性
望まれる事象や効果を実現させるための「必要条件」がいくつか整っているだけで「十分条件」が整っていると誤解しがち。
必要条件は最低限必要なもの。それだけでは成功には不十分。十分条件とは運や偶然といったものであり、自分でコントロールできるものではない。だから成功には決まったルートが存在しない。
成功者のやったことをそのまま真似ても成功はできないってこと。
感想まとめ
総じて、参考になりそうなことがたくさん書かれている良書だったと思う。
今後、仕事や普段の生活でも取り入れていきたい。