アンパンマンの遺書 感想

やなせたかしさんの、「アンパンマンの遺書」を読んだので感想を書きます。

「手のひらを太陽に」の作詞者でもある戦中派の作者が、自身の風変わりなホップ・ステップの人生を語る。銀座モダンボーイの修行時代、焼け跡からの出発、長かった無名時代、そしてついに登場するアンパンマン。手塚治虫、永六輔、いずみたく、宮城まり子ら多彩な人びととの交流を横糸に、味わい深い人生模様が織り上げられていく。

裏表紙より

やなせたかしさんのことは、アンパンマンの作者ってこと以外全く知らなかったけど、本書を読んですごく好きになった。

ものすごく行動力があって、責任感があって、目の前のことに全力で取り組んでいて、何より文章が面白い!


そして教えてもらったこともいろいろ。「来る仕事は断らない」「経験に無駄はない」。夫婦生活についても。離婚の原因の1番は性格の不一致、だけど性格が違うものが一緒に暮らすからこそ楽しいし、助け合える。

アンパンマンが生まれたのも、「正義」について深い考えを持っていたから。正義のための戦いなどどこにもない。正義は或る日突然逆転する。正義は信じがたい。逆転しない正義は献身と愛。本当の正義とは決して格好いいものではない、そのために必ず自分も傷付く、そういう捨て身、献身の心なくして正義は行えない。本当に困っているのは物価高や公害、餓え、正義の超人はそのためにこそ戦わなければならない

やなせさんは自分のことを才能ないって言うけど、後世に残るものをいくつか作り上げている以上、才能ありますよ。才能無い人は後世に残せるようなものは産み出せません。


血液型はAB型で冷たくて移り気、不真面目と自己評価してるけど、本書を読んだ限り、そんなことはなさそうだけどな。優しくて、真面目そう。


やなせさんにとって人生とは、次の一文に全て込められているようだ。

なんのために生まれてなにをして生きるのかこたえられないなんてそんなのはいやだ!

アンパンマンの歌詞が深いってのは前から知っていたけど、本書を読むことで、なぜ幼児向けの番組の主題歌でこんな深い歌詞なのか、わかります。

人生の目的、しっかり見定めて生きていきたいものです。