著 者 | アントニィ・バージェス |
訳 者 | 乾 信一郎 |
発行者 | 早川 浩 |
発行所 | 株式会社早川書房 |
発 行 | 2008年9月15日(文庫) |
1962年に発表された本書は、映画化されたことで著者の中では最も有名な作品となる。
あらすじ
近未来の高度管理社会。15歳の少年アレックスは、平凡で機械的な毎日にうんざりしていた。そこで彼が見つけた唯一の気晴らしは超暴力。仲間とともに夜の街をさまよい、盗み、破壊、暴行、殺人をけたたましく笑いながら繰りかえす。だがやがて、国家の手が少年にせまる――スタンリー・キューブリック監督映画原作にして、英国の二十世紀文学を代表するベスト・クラシック。幻の最終章を付加した完全版。解説/柳下毅一郎
裏表紙
感 想
少年法を盾に悪事をはたらく少年って、どうすればいいんだろうか。
個人的にはこの主人公に同情する気は一切ない。
218頁でジョーが言うように「おまえは、ひとさまを苦しめたんじゃないか。そのお前が苦しむのは当たり前なんだ。」って意見に完全同意で、この主人公はまだ苦しみが足りないと思う。もっと残酷な目に遭わないと、彼に被害を受けた人たちの方が可哀そう。
まあでも現実の方がもっと残酷だとは思うけど。
物語では勧善懲悪が好きだなー。イヤミスみたいなのも嫌いではないけど。
思春期に情緒が不安定で、大人になりきっていなくて罪を犯す。
でも罪を犯さない人の方が大多数なわけで、思春期ってだけで刑が軽くなるのは、なんでなんだろうね。少年だって大人と同じ罰受けりゃいいのに。
本書にでてくる、ルドビコ法。
少年を「時計じかけのオレンジ」に変えてしまう方法。パブロフの犬だよね。
物理的に悪いことできなくしちゃうってのはいい方法だよな。性犯罪者とかにこの方法やればいいのに。
人権とかにうるさい人は、反対しそうだけど。
そんな感じで、結構暴力の描写があるので、嫌いな人は嫌いなのではないでしょうか。主人公たちが楽しそうに罪を犯すから、R指定も必要でしょう。バカはこんなのに感化されて、不良カッコいい、とかなりそうだしね。
最後は納得いかなかったですね。映画版も、当初の出版バージョンも、第3部の第6章のところで終わっているらしく、第7章があって完全版だそうです。
第7章は諸説あって省かれていたりしたそうですが、個人的にはどっちでもいいかな。あった方がイヤミス度(ミステリではないけど)が高い気がするけど。
いろいろ書いたけど、とても面白い小説でした。お勧めです。